沿革

 精神障害者日本・カナダ交流について        文責 富山 明雄                      

 私たち日本カナダ国際精神保健交流協議会は、1993年発足以来今日までその活動を続けてる。発足は今は亡き久良木幹雄氏が92年、精神障害者改革の先進国カナダを訪 問し、障害者に対するケア・施設の充実に驚嘆し、これをわが国に紹介しようとしたことに発する。

 それは92年の冬、私(富山)とH氏が久良木氏から招待を受けた。この数ヶ月前まで氏は私の所属する作業所ほっとすぺーす関町の所長をしていた。氏は所長退任後気ままな浪人生活を送っていたのである。私たちは氏と旧交を温めるため、そう思って伺った。まず一杯、酒を酌み交わしながら氏はカナダの精神障害者にたいするケア・施設の充実を熱っぽく話し、これを是非日本にも紹介したいと述べたのである。私たちは、したい、でもこれは夢、それも壮大な夢と思ったのだった。
    
   カナダ ウィスラーでの久良木さん

 だが氏はこれを実行に移したのである。翌93年練馬区を拠点に活動を開始した。ここで申し
たいのは、なぜ93年かということなのだ。これはこの年
WFMH(世界精神保健機構)の大会が
わが国で開催されるためである。これに参加するためカナダからも、当事者・関係者が訪日する。
氏はこれに合わせて大会を企画したのである。
 

 まず行うこと、実行委員会の参加者を募ること。だが反応は冷ややかだった。区内の作業所を
廻ったがさっぱり、なかには氏の精神状態を云々する声すら聞かれた。だが運動は徐々に広がっ
ていった。参加者も数を増してきた。当事者のみならず福祉事務所、保健所関係の人たちもであ
る。この中に私の入院してた
J病院のディケアのメンバーが連れだってきたのには驚いた。この
病院は閉鎖的と云われていたからである。これらの 人たちは、これらにあき足らない気持ちか
らであろう。時は変わりつつある。その感であった。実行委員会への参加者は日毎に増えていっ
た。当事者、精神福祉関係者のみならず、一般市民のひとたちもである。このころより精神障害
者に対する関心ができつつあったのである。この時の久良木氏の方針、来る者は拒まず、参加者
は全て実行委員。これなのである。この精神はいまも続いている。この企画に関心・賛同してく
れる方自由に参加してください。これがわが協会の意思でもある。 

 人は集まった、だが会場が決まらない。決まらなければ大会は開催できない。この時援助の手
を差し伸べてくれたのは福祉事務所の
I氏と保健所のSさんだった。官庁のノウハウに通じたこの
人たちの力により練馬区の後援を得たのである。これで会場は決まり。大泉の勤労福祉会館だっ
た。ここに93年8月28日、「精神障害者日本・カナダ交流の夕べ」が開催された。この催し
は大盛況のうちにおわった。
このなかで画期的だったのは、このシンポジュウムのシンポジスト、
司会を当事者にしたのである。現在では当然のこと。でもこの時は斬新そのものであった。

 そして、氏はこれを機会に日・加相互訪問を考えこの年の10月末、第1回カナダ訪問を行っ
たのである。この時の訪問団員30名、この中に当事者はなんと半数を占めるたのだった。精神
障害者が海を渡って海外に行く。今は当然、だが当時は考えられなかった。氏はすべてに渉って
先駆者だったのである。このときにおけるカナダ側の歓迎は凄かった。その際たる事、クルージ
ング、船上での歓迎パーティー、夢心地だった。後に 久良木氏がなぜこのような歓待をしてく
れかたと聞くと我々を歓待したお礼。当然というよし、誠意は洋の東西を問わず通じるのである。
さらに特筆すべきは、バンクーバーの在住の留学生の人たちが献身的にサポートしてくれたので
ある。一つの例として私たち数人の観光案内をしてくれた方は、詳しくは言えないが日本ならば
相当の高い地位におる人だったのである。満足一杯の旅であった。


このことで述べたいのはこの催しは参加した当事者全員に、俺たちでもやれば出きる。そう自信
を植えつけたのである。そしてこれを期に当事者活動に従事する者が多数でたのだった。私(冨
山)もその一人である。将に当事者活動の先駆けといってよいだろう。
この後、4度に渉るカナ
ダ側関係者・当事者のの招致、6度におけるわが方のカナダ訪問、いずれも成功裡に終わってい
る。

 ところで、当協会にも大きな危機があった。98年の久良木氏の突然の死去。私たちは呆然と
した。この運動は終わりか。細々とは続けられてた。ところが99年社会事業大学の学生
Oさん
が某団体に助成金を申請し、これが受けられたのである。そしてこれを基にカナダの人たちを招
聘しシンポジュウムを開催したのである。この時参加した人たち、往年のメンバーほぼ全員だっ
た。まだ情熱を失っていない。嬉しかった。この企画も成功裡におわった。これを機会に日・加
の運動を息を吹き返した。

 現在、当協会は金杉クリニック・金杉院長の全面的サポートを受けて活動し、昨年は第6回カ
ナダ訪問も敢行した。そして定期的会合も重ねてる。わが会の方針、参加してくれる方は自由に
お出でください。そして自分の考えを自由に述べてください。これは故久良木の遺志でもある。
私たちはこの方針を受けついているのである
私たちのこの活動を通じて思うこと。この運動は
単に当事者、医療福祉関係者のみならず一般市民の方たちも献身的にサポートしてくれた。私た
ちはこれらの人たちに深く感謝するのである。そしてカナダの人々を通して人間は一つ。これを
知ったのである。これは病を持つ如何に関わらず言えるのではないだろうか。この活動は多くの
ことを教えてくれたのである。

 

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